金洞山 ・ 相馬岳 ( 妙義 )  (1,104m) 23.11.13

これは、7L1EZXさんから頂いたメールを転載したものです。

  ネットで検索すると、最難関コ-ス、北アの西穂~奥穂より危険、クサリがなければ谷川岳一之倉に匹敵、更には登山禁止、ル-ト不明瞭、落ちたら真っ逆さま等々の文字が散見されます。

  そう聞いて黙っていられない性分の小生、たまたまメンバ-の一人と都合が合って秋の紅葉期にチ ャレンジすることができました。

  中之岳神社の駐車場から見上げるギザギザの尖塔群は、前回の両神山をはるかに凌ぐ刺々しさを誇っています。厳しさが十分に予想されたので、身を軽くすることを大前提に装備は必要最小限にとどめました。

  傾斜のきつい神社の階段を上り、不規則に並べられた石畳を歩いて山の中に入っていきました。このあたりの木々の葉はまだまだ緑です。
ほんの30分で見晴台という一角に立ちました。そこからは周りの景色と一緒に石門群全体が見降ろせます。

  さらに登っていくと最初のピ-クである中ノ岳に向かうクサリ場に出ました。私は常々クサリ等の人工物に頼らない登りを信条としているので今回もできるだけそうしようと、三点支持で登っていきました。

  そこをクリア-するとその上は虎綱が張ってありました。ここももちろん自力登山です。綱にはいっさい手を触れません。更にその上も2段のクサリ場でした。ここも自力で登り始めたのですが、かなり手強く時間もかかる上に高度感も手伝って、悔しいかな途中からクサリに手を伸ばしてしまいました。その先もその先も次から次とクサリ場の連続で、場所によっては自力で登りましたが、次第に頼る場面が多くなっていきました。

  中ノ岳の山頂に立つと、小さな石の社がありました。その白さと隣のナナカマドの赤い実とのコントラストが鮮やかです。周りを見れば360度の雄大な大展望、西上州の峰々から遠く八ヶ岳、手前に荒船、浅間、鼻曲から浅間隠、そして榛名から赤城と見飽きることがありません。気持ちは爽やかそのもの。すぐ北には裏妙義の岸壁が聳え立ち、その周りを赤、黄、緑が彩っています。双眼鏡を覗くと、赤岩や丁須の頭にちらほらと登山者の姿が確認できました。名物の石門群は遙か下で屏風の様にそそり立っています。標高は低いものの独立峰だけに見渡せる山の数は波のようです。いや-、すごいすごい。今日はお天気も上々です。

  山頂から続く細く痩せた尾根は垂直に切れ落ち、下をのぞくと引き込まれそうで足がすくみます。その先もこれでもかこれでもかと言うくらいクサリの連続です。

  東岳のピ-クを過ぎて、いよいよ最大の難所である「鷹戻しの頭」に向かいました。クサリのない場所でも木の根や幹にしがみつきながらの登坂でした。その先にルンゼ状の中に2段25mのクサリがかかっていました。これまでで一番の難所に感じましたが、それほど大したことはなく物足りなさを感じたので、反対側から登ってきた人にこれが問題の場所かと聞いてみると、本命はこの先だということでした。彼曰く「きっと、もの足りま  すよ。」と笑って返  してくれました。そんな話をして進んでいくと、絶壁に出て、下から登ってくる仲間をザイルで確保している人の所に出ました。

  ここがその場所、いわゆる鷹戻の頭です。下方が切れ落ちた2段20mのクサリと垂直のハシゴ。一瞬躊躇心が起こります。万が一途中で力尽きたら腕を休めさせられるように、シュリングを腰に巻いて簡易ハ-ネスとし、いつでもセルフビレ-が取れるようにセットしました。

  1段目のくさりに取り付きます。下が見えず、というか恐怖心で見ることもせず、握力が尽きれば落ちるしかない高度感に打ち震えます。もちろんクサリ無しで降りるなんて自殺行為です。半分くらいまで降りるともう腕の力が無くなりかけてきました。これが夏で汗ばめば、かなりすべるのではないかと不安に思いました。後1m弱というところで油断したせいかバランスを崩して左に降られ、空中に放り出されそうになりましたが、なんとか降りきることができました。仲間が見ているので自称「山屋」の私としてはみっともない真似はできません。平気な顔をして2段目のクサリに取りかかり、気がついてみると着地していました。何とか降りられてほっと胸をなで下ろした情けない私でした。私たちの前にいた3人パ-ティ-の一人は、少し降りては恐くてまた登り返し、また降りては戻ってというようにしていて、先に降りた残り二人が30分以上も待ちぼうけを食らわされていました。我々は下りだからいいようなものの、逆コ-スだったら自分の体重を引き上げなければならないし、しかもコ-スの終盤で体力的にも疲れているとすればかなり厳しいだろうなと思いました。

  難所を越えて気分をよくしたせいか白雲山まで足を伸ばすことにしました。女坂分岐を通り越し、茨尾根を経て最高峰の相馬岳に向かいます。鷹戻し以上の恐い箇所はないものの足場がなかったり、傾斜が急でどう登っていいか分からない所など結構手応えのある登坂でした。

  相馬岳で1時間の昼食兼昼寝休憩を取りました。山頂にはかなりの人が去来し、途中でも多くの人たちとすれ違いました。ネットで調べていた時はこんな厳しいコ-スなので人など近づかないのではないかと思っていたのですがどうしてどうして、山ガ-ルから山ジジイまでかなりの数の登山者でした。
おそらくサイトにアップする人は、危険だとか危ないだとかを強く感じた人の独壇場であって、大したことはないと思っている人は書かないものなんでしょうね。ちょっと踊らされた感のある私でした。その証拠にこのル-トは、案内板       が随所に設置され、ペンキで書かれた○や×の表示や迷いそうな所には立入禁止の黄色い太いテ-プが渡されていましたから。

  帰路はタルワキ沢を降り中間道を石門まで歩こうと予定していたのですが時間がかかりそうなので、途中の東屋から大人場に降りて、そこから一本杉までショ-トカットして残りは車道を歩くことにしました。ところが最後の一本杉までの30分がずっと登りでほとほと疲れました。思えばここは現職の頃、林間学校で何度も上り下りした場所でした。

  7~8年前に妙義神社から白雲山までは制覇していたので、二回に渡りましたがこれで表妙義の縦走を成し遂げたことになります。車道に出てピ-クを仰ぎゆっくりと歩きながら、一人で充実感に浸っていました。

  道の脇に早くも寒桜の花びらが白く開いて、夕闇の迫る山域を照らしてくれているようでした。
 
        デ-タ                                     
 
 自宅 発    5:30          登  り    5:30
 現地 着     7:00                 (含む 休憩)
 登山口発    7:20         下  り    2:20   
 登山終了     16:10                         (含む 休憩)
 現地 発      16:30          昼  食       1:00   
 自宅 着    18:30 
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これは、7L1EZXさんから頂いたメールを転載したものです。

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