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鼻曲山


秋晴れの10月27日(日)、群馬長野県境の鼻曲山(1655m)に出かけました。

 映画「人間の証明」で一躍脚光を浴びた、西条八十の詩「帽子」にある霧積にあこがれての山行です。もちろん、紅葉をも求めて。

 旧の18号、趣のある坂本宿を過ぎて右折します。木漏れ日の色づいた林道は、進むにつれてその色合いを増し、期待は徐々に膨らみます。突き当たりの登山口付近には、すでに十数台の車が駐車してあって、登山者の姿もちらほらと見えかくれしていました。

 9時25分、登山開始。前日の雨で適度に湿った登山道を気持ちよく歩き始めます。標高が上がるにつれて紅葉が色鮮やかになっていきます。緑、赤、黄、茶とそれぞれの葉が入り交じって、この秋一番のよそおいです。でもなぜか、我々の歩くル−ト上空のみが雲に覆われているようです、まわりの山肌はやわらかな陽ざしに照らされているというのに。目指す山頂もその上の部分だけに、薄黒い雲がかかっていました。

 1時間と少し歩いて、急斜面を登り、尾根に出ました。ここらあたりは木枯らしが吹き渡り、木々の葉は落ちきっていて、もう冬の気配です。ほんの一瞬でしたが、白いものが舞いました。

 11時15分、山頂着。すでに20人近くの登頂者が、思い思いに休んでいます。西端に立つと、青々とした榛名山、思いの外低く見える妙義山、そして烏川の蛇行、しばし疲れを忘れます。手前には、軽井沢の町も白く輝いて見えました。
 そうこうしているうちに、寒さが身にしみてきます。ここはどうも雲の発生場所のようです。ときたま雲の切れ間に陽が射すと、お日様の暖かさがほんとうにありがたく感じられます。

 昼食後、すぐ西の小天狗まで足を伸ばして驚きました。足もとに広がる雄大な裾野を従えた浅間山が高く聳え、その東側に黒々とした浅間隠山がど−んと構えています。そしてそれらの山々を取り巻く晩秋の紅葉の広がり、思わず「お−。」と、声を出してしまいました。

 12時35分、寒さのために長くとどまっていられず下山開始。登ってくる登山者に、秩父連山の隙間からのぞく、真っ白い小さい富士山を教えてもらいました。
 13時55分、下山終了。歩行時間3時間10分という速さの山行でした。

 ガイドブックに、「筆舌に尽くしがたい紅葉の美しさ」とありましたが、それもさることながら、行き帰りの登山路を埋め尽くした、色とりどりの落ち葉の美しさに感じ入った秋の山行でした。

紅葉の樹林 樹林の太陽
浅間隠山 雄大な浅間山


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