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01.11.25  妙義山 丁須岩


裏妙義レポ−ト
 この日は11月25日、三連休の最終日です。目指すは裏妙義縦走路のハイライト部分、丁須岩から烏帽子岩までのル−トです。

  8時ちょっと前、朝日に輝く奇岩の尾根を見上げながら、国民宿舎わきの登山口を出発。木や岩に付けられた目印にそって、植林された沢筋を登ります。ところどころに大きな岩がそそり立っていて、妙義らしさを感じさせます。

 ふと気がつくと、今まで見えていた目印が見当たりません。しかし登るには快適な涸れ沢なので、おかしいなと思いつつ登っていきました。でもやはり目印は見えません。おかしいなあ。すでに目印が見えなくなってから20メ−トルは過ぎています。せっかくここまで登ってきたので、戻るのも悔しいし。しかし心配なので、右に入り込んで胸までのクマザサをかき分けて回ってみると、向こうの沢に目印が見えます。いつの間にか沢を一本間違えて、入り込んでしまったようでした。

 やがて木戸という、御岳を通って横川へ抜ける尾根の分岐に出てひと休みしました。
 頭上高くそびえ立つ岩壁を北側に巻いて、最初の目標地である丁須岩の下部に出ます。その岩をよじ登ると、狭いテラスに出るのですが、急直下に切れ落ちているのでこわいったらありゃしません。たまたまザックにしばりつけてあった短いザイルをすぐにほどいて、くさりの根本に結びつけて体を固定しました。その数メ−トル先にもちょっとたテラスがあるのですが、そこへは狭い岩を這って伝わっていかねばならないので、私はご遠慮申し上げました。

 私がふるえているテラスの上には、さらにこぶしを突き上げたような岩の塊が、天頂に突き上げています。それが丁須岩と言われる岩です。そこにはくさりが取り付けてあって、登れるようになっています。ですが、見ただけで体が縮みあがり、心臓に良くありません。ガイドブックには、そこを登っている写真が載っていましたが、とんでもないことです。この日は十数人登山者がいましたが、だれ一人挑戦する人はいませんでした。

 びくびくしながらも、しばらく360度の景観を味わうことができます。浅間山を始め八ヶ岳連峰や真っ白に雪をかぶった北アルプスの峰々までが遠くに見えて、感激でした。
 その後、尾根道を西に進みます。南側にあるせいか暖かな陽ざしを浴びての歩きです。所々、北側が切れ落ちていて、谷から吹き上げてくる冷たい風が疲れた体を冷やしてくれ、とても心地よかったです。

 赤岩というポイントを通過し(どこが赤岩なのか考えもしなかったが)、おなかが空いて疲れも出てきたので、どこか休む所がないかなあとさがしながら進みます。大きな岸壁の横にちょっとした岩場があって休むには絶好の場所だったので、ザックを降ろしました。もしかしたら、ここが烏帽子岩と呼ばれる所なのかもしれません。暖かな陽を浴びながら、のんびり昼寝でもしたい気分ではありましたが、麓まで三時間程度かかる道のりなので、そうはゆっくりできませんでした。

 小さな登り降りを何回か繰り返しながら、急な沢に入りました。落ち葉が登路を埋め、登るそばから滑り落ちてしまいます。なにくそと思いながら挑戦するのですが、どうも人の踏んだ後も見えません。またまちがったかなあ、と振り返りながら進むのですが、やはりどうみても人の通った形跡がありません。なにしろ奇岩怪石の妙義です。変なところに出てしますと、やせ尾根の上だったりして身動きがとれなくなってしまう心配があります。そう思うと不安で、先に進めません。とうとう断念して降りようとしましたが、手がかりがまったく無く、降りるほうがむずかしいです。恥ずかしながら尻制動で降りました。降りて見ると、すぐ左わきにくさりがついていました。本当にこの山は、どこからでも登れる箇所があるので、その分まちがって踏み込んでしまいがちな山です。

 そうこうしているうちに、ようやくにして三方境という分岐に到着しました。ここからは木漏れ日の杉林を快調に降り進みます。
 やがてくだりに飽きた頃、沢音が聞こえ林道の白いガ−ドレ−ルが見えてきます。沢を渡って土手をあがり対岸に出て、ほんの数分で国民宿舎の前に出ました。

 庭に面した水道で顔を洗うととっても冷たく、美味しくて、のどが満足するまで腹一杯飲んでしまいました。
 このル−トは岩場が多く、随所にくさりが設置されています。ただ私は岩登りのトレ−ニングを兼ねて、人工物はいっさい使わないで登ろうと決めていました。くさりにはいっさい手を触れず、岩のホ−ルドやスタンスを使って登り降りしました。ただ、トラバ−スする岩場の壁は、足がかりが無かったので、二カ所だけ人工の踏み台を使いました。その際もくさりは使いませんでしたが、とても恐かったです。

 このル−トは、奇岩とスリルを求める方には最高かと思います。
 帰り際、水鳥の遊ぶ人造の妙義湖が陽に映えて、秋の日を感じることができました。
 全行程、1時間の休憩を含んで6時間45分でした。


7L1EZX  大島作





丁須岩近望 山波遙かな浅間山

丁須岩 やむなく使った踏板


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